ABA（Applied Behavior Analysis：応用行動分析）とは、行動の背景には「個人」と「環境」との相互作用があると考える心理学の一種で、行動の前後の環境を分析することで「行動問題」に対する支援に応用できることで知られています。主にASD（自閉スペクトラム症）を中心とした発達障害児者への支援現場で世界的に活用されている考え方です。

ABAは自閉症スペクトラム障害の児童や成人の行動支援のために幅広く活用されています。この手法は、具体的な行動を観察し、その行動に対して適切な刺激やフィードバックを与えることで望ましい行動を増加させることを目指します。 例えば、コミュニケーションが困難な自閉症児者に対しては、ABAを用いたコミュニケーショントレーニングが効果的です。定型文やジェスチャーを使ってコミュニケーションを学ぶプログラムを組み立て、繰り返し練習を通じて自閉症児者が適切なコミュニケーション方法を身につけるサポートが行われます。

また、自閉症児者が求める行動を積極的にサポートするために、ポジティブリンフォーサメントの原則を取り入れた支援も重要です。自閉症児者が望ましい行動を行った際には肯定的なフィードバックを与えることで、その行動を定着させることが可能になります。 さらに、日常生活において自閉症児者が直面する課題に対してもABAを活用し、行動分析を行った上で環境の適応を図るプログラムが展開されています。例えば、自閉症児者が特定の環境で過度に刺激される場合には、その環境を調整することで快適な状況を提供し、過剰な刺激への適切な対処方法をトレーニングすることが考えられます。

このように、ABAを実践的に活用することで、自閉症児者の行動支援や社会参加の向上に効果的な方法が提供されています。