「自閉症」支援の実践知

自閉症(ASD)を理解し、支援を学ぼう

一般社団法人 カラフルNIPPON

講師紹介

一般社団法人カラフルNIPPON
代表理事

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平 雅夫

主な経歴

筑波大学大学院にて行動理論・認知理論等、発達障害・知的障害児者の心理を学ぶ。都内私立学校にて、教員として進路指導・研究員などを歴任。生活介護施設、障害者就労支援センターなど障害者福祉の分野で活躍してきた。心理・教育・福祉の第一線の理論及び実践から構築される多面的な支援の評価は国内外にも広がっており、講演依頼・施設顧問等の依頼・招聘が国内外より後を絶たない高度な実践家である。重度知的・自閉症児者に向けた生活介護事業/グループホーム施設である「カラフル西東京」の施設長のほか、星槎大学非常勤講師・西東京市自立支援協議会会長も務めた。

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自閉スペクトラム症

(ASD:Autism Spectrum Disorder)とは

自閉スペクトラム症とは、「社会的なコミュニケーションの困難さ」や「特定の行動やものに対する強いこだわりがある」「言葉の発達の遅れ」等、多種多様な障害特性のみられる発達障害の1つです。幼児期に発現することが多いですが、成人期に顕在化することもあります。この障害特性により社会生活において困難さを感じることがあります。

自閉症スペクトラム症を正しく理解しましょう

自閉症理解のための“3つの理論”と実践知

「実行機能」「中枢性統合」「心の理論」とは?

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実行機能

目標達成のために、自分を制御し処理を進めていく機能のこと。以下の6つがある。

1)取り掛かり:課題を整理し、優先順位をつけて取り掛かる機能

2)焦点化:課題に対する注意の焦点化、注意の維持、注意の移動を適切に行う機能
3)努力:課題を遂行するために意識を覚醒させ、努力を続け、適切な処理速度を維持・調整する機能
4)感情:自らの欲求不満を管理し、感情を調整する機能
5)記憶:ワーキングメモリーを活用し、想起する機能
6)行動:自分の行動を客観的にモニタリングし、必要に応じて自己抑制する機能

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中枢性統合

全体の状況を考慮し、物事を理解する力
・別々の情報をまとめて、状況に応じた、より高次の意味に構築する力(Frith)
・部分は理解できるが、それを全体(意味や意図など)へ広げて解釈する力が弱かったり、部分への注目にとどまっている状態。
・「状況、行為、あるいは文章は、その子どもが初めて遭遇した時と全く同じ構成部分で成り立っていないと完全とは思わない」(Kanner)

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心の理論

他者の心の動きを類推したり、他者が自分とは違う信念を持っているということを理解したりする力
• この力により、他人にも心が宿っていると見なすことができ(他人への心の帰属)、他人の心のはたらきを理解し(心的状態の理解)、それに基づいて他人の行動を予測することができる(行動の予測)。
• 定型発達児が4歳ごろから解決可能になる誤信念課題を自閉症児がなかなか通過できないことから、自閉症の中核的障害が「心の理論」の欠如にあるという考え方が提案された。
• 近年の研究では、相手の心の動きは読みにくいが、感情はむしろ敏感なこともあることがわかってきた。

実行機能

  1. 01

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    「実行機能が弱い」とどうなるの?

    • やりっぱなし
    →「どうしていつも中途半端なの」・・・


    • 受けた仕事をやりきれない
    →「断ればいいのに」「終わらずイライラしてる」・・・


    • 優先順位をつけられない
    →「まだ手を付けてないの」「要領が悪すぎる」・・・


    • 自己チュー
    →「こっちの話も聞かないで」「感情の起伏が激しくて」

  2. 02

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    従来の支援は・・

    • やりっぱなし
    「どうして中途半端なの」⇒「アウトプットを意識して」


    • あれやこれや動きすぎ
    「キャパオーバー」⇒「できないことは初めに言いなさい」


    • 優先順位をつけられない
    「まだ手を付けてないの」⇒「メモに書き出して」


    • 自己チュー
    「こっちの話も聞かないで」⇒「少し黙ってよ(叱責)」

  3. 03

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    実行機能への実践知

    〇:ゴールを明確に伝えましょう。
    〇:ゴールに向けて活動を順序だてましょう。
    〇:複数の活動には優先順位をつけましょう。
    〇:キャパシティを調整しましょう。


    ×:「きっとわかるはず」だと不足することがあります。
    ×:口頭の指示だけではわかりにくいことがあります。
    ×:経験を積むとできるものもありますが難しいままのものも。
    ×:メモや付箋の取り扱いを教えないと貼るだけになります。

中枢性統合機能

サブタイトル

  1. 01

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    「中枢性統合機能が弱い」とどうなるの?

    • 話の流れが読みにくい

    →「これまでの話を聞いてたの?」・・・


    • 会話や指示の意味の推測が難しい

    →「いちいち言わなきゃ分からない」・・・


    • 細かいことが気になる

    →「そんなことはどうでもいいのに」・・・


    ・すでに知っていることに執着する

    →「新しい方がいいはずなのに」・・・

  2. 02

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    従来の支援は・・

    • 話の流れが読みにくい
    「これまでの話を聞いてたの」⇒「人の目を見て集中して」


    • 会話や指示の意味の推測が難しい
    「いちいち言わなきゃ分からない」⇒「時間をあげるから考えてみて」


    • 細かいことが気になる
    「そんなことはどうでもいいのに」⇒「揚げ足を取らないで」


    • すでに知っていることに執着する
    「新しい方がいいはずなのに」⇒「いいから変更しなさい」

  3. 03

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    中枢性統合機能への実践知

    〇:開始と終了を明確に伝えましょう。
    〇:何をしなければならないかを明確に伝えましょう。
    〇:あいまいな表現は避け、視覚的手掛かりを使いましょう。
    〇:新しい課題と既得のスキルや知識を関連付けましょう。


    ×:感情的に指示(叱責)をしても伝わるわけではありません。
    ×:口頭の指示だけではわかりにくいことがあります。
    ×:時間をかけて考えさせても解決策がでないことがあります。

心の理論


  1. 01

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    「心の理論が弱い」とどうなるの?

    • 一方的に自分の話をする

    →「◇って、〇会社の×さんの失敗作として有名で」・・・


    • 社会的マナー・エチケットを気にしない

    →「どうしてお礼言わなきゃいけないの」・・・


    • 皮肉や冗談が分からない

    →「宿題出すまで、学校来なくていい」・・・


    ・自分の行動を(理解してもらえるように)説明できない

    →「そこに居ればわかりますよ、絶対」

  2. 02

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    従来の支援は・・

    • 一方的に自分の話をする
    「◇って、有名で」⇒「SSTやり直す?」


    • 社会的マナー・エチケットを気にしない

    「どうしてお礼言わなきゃいけないの」⇒「そんな常識知らずなら、親にも言わなきゃ」


    • 皮肉や冗談が分からない
    「宿題出すまで、学校来なくていい」⇒「そんなつもりじゃ」


    • 自分の行動を(理解してもらえるように)説明できない
    「居ればわかりますよ、絶対」⇒「ちゃんと説明しなさい」

  3. 03

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    心の理論への実践知

    〇:指示を与えるときは明確に伝えましょう。
    〇:妨害をせずに話を聞く、順番に話すなど具体的なスキルを伝えましょう(練習しましょう)。
    〇:自分の影響に気づき、行動を修正できるように支援しましょう。
    〇:内省や認識を促し、問題解決に導くように支援しましょう。


    ×:表面的な行動修正では、他の問題が浮上することがあります。
    ×:こちらの意図を「読み取る」ことが難しいことがあります。
    ×:他者や社会からの回避に至ることがあります。

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私たちは、「心理」「教育」「福祉」の分野で、30年以上、障害に関する対人援助の「研究」と「実践」の両面に携わってきた平代表を中心に、自閉症児者や重度知的障害児者、発達障害者に対し、応用行動分析(ABA)や認知行動療法 (CBT)などの理論と実践に裏打ちされた専門的な支援を行っています。

支援の効果

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